オオルリ

5月になると、コマドリやコルリ、クロツグミ、ヤブサメ、オオヨシキリ、メボソムシクイ、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリ、サンコウチョウなどの夏鳥が出そろいます。彼らは遠く離れた南の国々で冬を過ごした後、繁殖のために日本へ飛来するのです。

それぞれ美しい、あるいは特徴のある鳴き声を聞かせてくれますが、さえずりは繁殖のための縄張りを宣言するもので、人を楽しませるために歌っているのではありません。

小鳥たちの中でもオオルリは、「ピィーピィーリューリーリッ、ピィーピィーヒーリッリッ、ジジッ」などと美しい声で鳴く上に、目のさめるようなコバルトブルーの美しい姿を合わせ持ち、日本の三鳴鳥の一つにあげられています。

繁殖場所は主に渓谷沿いの落葉広葉樹林で、切り立ったがけにコケを材料にして巣を作ります。早川や須雲川とその支流には、こうしたオオルリの繁殖に適した場所が多く見られます。

ヒナを育てる時期には大量の餌が必要ですが、この頃には餌となるガの幼虫などが大量に発生します。若葉はやわらかい上にアクが少なく、小さな幼虫にとって食べやすいのです。

渓谷には他にも都合の良いことがあります。水場が近いだけでなく、川底に生息するカゲロウやカワゲラ、トビケラなどの水生昆虫の成虫が大量に羽化し、これも餌として利用できるからです。

なお、小鳥のさえずりは雄と決まっていますが、オオルリの雌は雄のさえずりに似た声で鳴きます。

 

ふるさとの仲間たち 箱根生きもの図鑑

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