ハタネズミ

ハタネズミは、体長12cm前後、尾長4cm、体重40g前後の尾と耳の短いノネズミです。餌は草や植物の根で、食べ物には不自由しない反面、木の実と違ってカロリーが低く、空腹のために日中にも餌を食べます。

ほとんどのノネズミは、増え過ぎて被害を与えることはありませんが、ハタネズミは、大発生して山林に被害を与えることが知られています。

箱根でも昭和10年頃に大発生し、食害による大きな被害を与えました。その時のことが、小塚の国道138号脇の「箱根竹開花之碑」に記されています。大発生の原因は、ハコネダケが開花結実し、その栄養価の高い種子を食べて繁殖力が高まったものと考えられたようです。

竹は、いっせいに開花すると枯れてしまいます。箱根竹は当時重要な産物として出荷されていましたが、この後、箱根竹産業は消滅したそうです。利用されなくなったハコネダケは繁茂し、今では邪魔者扱いされています。

ハタネズミはその後、大発生することはなく、仙石原湿原や防火帯などの草地に生息しているものの生息数は少ないようです。

観察してみると、警戒心が薄く、行動も敏捷ではありません。そのせいか外敵に捕まりやすく、フクロウなどの捕食者の重要な餌となっています。

ふるさとの仲間たち 箱根生きもの図鑑

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