箱根(はこね)生(い)きもの図鑑(ずかん) (15)モモジロコウモリ
箱根山地からは、これまでに10種類のコウモリが記録されていますが、いずれも減少しているようです。その中で唯一健在と言えるのがモモジロコウモリです。
モモジロコウモリは体長5cm余り、尾長4cm弱、体重7から8gと小型で、水辺に近い場所で活動します。水辺にはカゲロウやトビケラ、ユスリカなどの水生昆虫の成虫が羽化するため、コウモリの餌が多いのです。
彼らの昼間の生活場所は洞穴で、箱根用水の内部に大群が生息しています。活動を始めるのは4月上旬で、深良水門に近い湖尻付近で見られます。
6月には活動範囲が広がり、早川沿いの仙石原や小塚、芦ノ湖の元箱根などでも観察できるようになります。
ところで、コウモリは夜間超音波で昆虫を発見し、捕食します。夏には明かりに集まる虫も多いのですが、秋になるとその数はめっきりと少なくなります。
一方、コウモリは冬眠に備えて脂肪を蓄える必要があります。少ない昆虫を探して飛ぶのでは夏よりもエネルギーを消費するはずです。家計で言えば、収入が激減したのに貯金を増やさなければならないのです。
この難題を、コウモリは活動時以外は体温を外気と同じ温度まで下げることにより解決しています。じつは小さな哺乳類ほど体温の維持に高いコストがかかり、これを節約することによって脂肪の蓄積を可能にしているのです。
なお、コウモリの体には、他にもすごい能力や仕組みが備わっています。
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更新日:2016年3月29日