(1)元箱根石仏群(もとはこねせきぶつぐん)

元箱根石仏群(もとはこねせきぶつぐん)とは、国道(こくどう)1号線(いちごうせん)沿(ぞ)い芦之湯温泉(あしのゆおんせん)付近(ふきん)にある石仏(せきぶつ)や石塔(せきとう)をいいます。

 

およそ700年前(ねんまえ)の鎌倉時代(かまくらじだい)につくられ、国(くに)の重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定(してい)されています。


鎌倉時代(かまくらじだい)には、この付近(ふきん)は京(きょう)と鎌倉(かまくら)を結(むす)ぶ重要(じゅうよう)な交通路(こうつうろ)でした。鎌倉古道(かまくらこどう)とよばれていたこの道は、現在(げんざい)の国道(こくどう)1号(ごう)です。

その当時(とうじ)、ここは火山活動(かざんかつどう)の残(のこ)る荒(あ)れた地形(ちけい)で「地獄道(じごくどう)」とよばれ、旅人(たびびと)に恐(おそ)れられていたため、石仏(せきぶつ)・石塔群(せきとうぐん)をつくって旅人(たびびと)の安全(あんぜん)を祈(いの)ったとのことです。

 

(2)箱根の湯立獅子舞(はこねのゆだてししまい)

江戸時代(えどじだい)から伝(つた)わる、国選無形文化財(こくせんむけいぶんかざい)の獅子舞(ししまい)です。

 

神事(しんじ:注 1)のあと、神社(じんじゃ)の境内(けいだい)で獅子(しし)が舞(ま)い、熱(あつ)い釜(かま)の湯(ゆ)を笹(ささ)の葉(は)でかき回(まわ)してその湯(ゆ)を参拝客(さんぱいきゃく)に振(ふ)りかける「釜巡(かまめぐ)りの舞(まい)」では、湯花(ゆばな:注2)をかけてもらうと一年(いちねん)病気(びょうき)をしないでいられるといわれています。


3月(がつ)27日(にち)には仙石原(せんごくはら)で、7月(がつ)15日(にち)には宮城野(みやぎの)でそれぞれ湯立獅子舞(ゆだてししまい)が行(おこな)われ、人々(ひとびと)の健康(けんこう)が祈願(きがん)されています。

 

(注1)神事(しんじ)
神(かみ)さまを祀(まつ)る儀式(ぎしき)

 

(注2)湯花(ゆばな)
温泉(おんせん)の成分(せいぶん)が結晶(けっしょう)したもの

 

(3)箱根関跡(はこねのせきあと)

箱根関跡江戸時代(えどじだい)に入(はい)ると、幕府(ばくふ)は江戸(えど)を守(まも)るため、全国(ぜんこく)に関所(せきしょ)を設置(せっち)しました。

 

江戸時代(えどじだい)の初(はじ)めには、関所(せきしょ)は軍事的(ぐんじてき)な拠点(きょてん)として役割(やくわり)を果(は)たしていましたが、やがて平和(へいわ)な時代(じだい)となるにつれ、関所(せきしょ)の役割(やくわり)も安全(あんぜん)を守(まも)るための警察的(けいさつてき)機能(きのう)へと移(うつ)り変(か)わっていきました。

 

江戸時代(えどじだい)260年間(ねんかん)にわたって機能(きのう)してきた関所(せきしょ)も、幕府(ばくふ)が倒(たお)れた後(あと)、明治(めいじ)2年(ねん)にその役目(やくめ)を終(お)え、廃止(はいし)されました。

 

(4)箱根仙石原湿原植物群落(はこねせんごくはらしつげんしょくぶつぐんらく)

現在(げんざい)の仙石原(せんごくはら)は、旅館(りょかん)、ホテル、美術館(びじゅつかん)などが立(た)ち並(ならぶ)ぶリゾート地(ち)となっていますが、約(やく)2万年(まんねん)前(まえ)は、芦ノ湖(あしのこ)の底(そこ)だったといわれています。


3千年(ぜんねん)前(まえ)、中央火口(ちゅうおうかこう)付近(ふきん)の神山(かみやま)が大(おお)きな爆発(ばくはつ)を起(お)こし、たくさんの岩(いわ)が仙石原(せんごくはら)に流(なが)れこみ、川(かわ)がせき止(と)められて誕生(たんじょう)したのが、湿原化(しつげんか:注3)した仙石原高原(せんごくはらこうげん)です。

 

この地(ち)がかつて湿原(しつげん)だったという名残(なごり)は「仙石原湿原(せんごくはらしつげん)」で見(み)ることができます。面積(めんせき)17ヘクタールのこの湿原(しつげん)は、昭和(しょうわ)9年(ねん)(1934年(ねん))には国(くに)の天然記念物(てんねんきねんぶつ)の指定(してい)を受(う)けました。


仙石原湿原(せんごくはらしつげん)には、かつては紫色(むらさきいろ)のノハナショウブが一面(いちめん)に咲(さ)いていました。現在(げんざい)では、その姿(すがた)も少(すく)なくなっていますが、ノハナショウブをはじめ、この湿原(しつげん)に生息(せいそく)する植物(しょくぶつ)の多(おお)くは、すぐ近(ちか)くにある「箱根湿生花園(はこねしっせいかえん)」で見(み)ることができます。


(注3) 湿原(しつげん)
洪水(こうずい)や川(かわ)の氾(はん)らんなどにより、定期的(ていきてき)に水(みず)におおわれる低地(ていち)で、つねに水分(すいぶん)の多(おお)い状態(じょうたい)にあり、ある程度(ていど)の広(ひろ)がりを持(も)っている土地(とち)。

 

(5)箱根旧街道(はこねきゅうかいどう)

小田原(おだわら)箱根口(はこねぐち)から芦ノ湖畔(あしのこはん)までの上(のぼ)り四里(よんり: 注 4)、三島(みしま)までの下(くだ)り四里(よんり)をあわせ「箱根八里(はこねはちり)」といい、東海道の中(なか)でも箱根越(はこねご)えは苦(くる)しい道(みち)のりでした。現在(げんざい)畑宿(はたじゅく)から湖畔(こはん)までは、旧東海道(きゅうとうかいどう)に残(のこ)る石畳(いしだたみ)が整備保存(せいびほぞん)され、たくさんの人々(ひとびと)が当時(とうじ)の面影(おもかげ)をしのびながら歩(ある)いています。

(注4)里(り)
中国(ちゅうごく)から伝(つた)わった長(なが)さの単位(たんい)。現在(げんざい)の単位(たんい)に直(なお)すと、1里(り)は約(やく)4km。

 

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