アズマモグラ

公園や庭の芝生で目にするモグラ塚は、11月から1月にかけて特に多くなります。これは、モグラがトンネルを作るために掘り出した土です。塚を見ると、表面とは違う色の深い場所の土が掘り出されていることも少なくありません。

モグラのえさとなるミミズは、地表近くで生活していますが、冬は地中の深い所に移動します。モグラは、夏の間使っていなかった深い場所のトンネルを手入れするため、地中から土を運び出すのです。都留文科大学の今泉吉晴教授の調査では、11月から12月の間に1匹のアズマモグラが堀り出した土の量は、平均337kgもあったそうです。

モグラ塚は森の中ではほとんど目にしませんが、地中にはモグラのトンネルが網の目のように広がっています。森の土はふかふかで、堀った土をトンネルの壁に押し固めたり、腐葉土の下に押し出してしまうために塚を目にしないのです。モグラは、農家やゴルフ場では嫌われていますが、土を耕やし、地下への雨水の浸透を助け、森を地下から支えています。

箱根山地のアズマモグラは、体重43~65gと小型で、体重では大きな平野の個体の半分しかありません。このため、コモグラと呼ばれたこともありましたが、今は区別されていません。

なお、アズマモグラに使われていたMogera woguraは、現在はコウベモグラの学名になり、アズマモグラの学名はMogera imaizumiiになっています。

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