アサギマダラ

アサギマダラは、マダラチョウ科の中で最も北に分布しています。ふわり、ふわりと飛ぶ優美な姿は、夏の避暑地に欠かせない存在です。

芦ノ湖周辺では6月上旬頃から見られますが、数はわずかです。その後産卵し、ふ化した幼虫はオオカモメヅルを食べて成長し、成虫となって数が増えます。また、低地にいた個体も山地に移動してくるため、夏の高原では、群れ飛ぶ光景を目にするようになります。

アサギマダラの羽根は、胴体の割に大きく、蝶や蛾に特有の鱗粉(りんぷん)がありません。このため、風に乗って省エネ飛行することも可能で、羽根を広げたまま数十秒も空中を漂っていることもあり、長距離移動に適しています。

移動は、春は北へ、秋は南へ行われます。中には、種子島から福島県白河市へ1200km移動した個体や、静岡市から鹿児島県喜界島へ1100kmも移動した個体もいるそうです。箱根の大涌谷からも、愛知県や三重県へ移動したことが確かめられています。

これらは、羽根にデータを記入して放し、再捕獲されることで確認されたもので、現在も多くのアマチュア研究家の協力により、長距離移動の謎の解明が進められています。

ふるさとの仲間たち 箱根生きもの図鑑

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