シュレーゲルアオガエル

初夏に仙石原湿原の近くを歩くと、カカカカカ…、あるいはリリリリリ…と美しい声が聞こえてきます。
時々、何の鳴き声かと問い合わせがありますが、カエルの声だと知って驚く人もいます。

シュレーゲルアオガエルは、雄で体長35~40mm、雌で45~55mmの緑色のカエルです。指先には吸盤があり、繁殖が終わると低木上でくらします。

アオガエル類の卵塊は白い泡に包まれていますが、シュレーゲルアオガエルは水際の土の窪みで産むため、卵塊は簡単には見られません。まれに水際の草や地表に産卵して、モリアオガエルと間違えられることがあります。しかし、モリアオガエルは体も卵塊もはるかに大きく、声は低く、産卵期も遅いのです。

ふ化した幼生は、卵塊から流れ出て水中で成長し、夏に変態して子ガエルになります。

子ガエルは、そのまま水田や湿原で親ガエルになるのではなく、8月下旬から9月中旬の雨の夜、山林へ移動します。つまり、水田や湿原へは、繁殖のために来ているのです。

シュレーゲルアオガエルの声は、仙石原湿原の他に、湖尻水門付近から温湯、品ノ木に至る早川沿いの地域、お玉ヶ池、阿字ヶ池など10ヵ所余りで聞くことができます。仙石原では4月上旬から6月下旬まで鳴いていますが、日中よりも夜の方が盛んに鳴きます。

なお、江戸時代に来日したシーボルトの標本を研究したオランダ人の名前がついていますが、れっきとした日本のカエルです。

ふるさとの仲間たち 箱根生きもの図鑑

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