コウベモグラ

コウベモグラも、先月号で紹介したトノサマガエルと同様に日本列島を西から東へと分布を広げ、静岡県以西に分布しています。コウベモグラはアズマモグラよりも大きく、先に分布を広げていたアズマモグラを滅ぼしながら東へ分布を広げてきたと言われています。  

しかし、大きな体を維持するには大量のミミズなどを食べなければならず、肥えた厚い土壌が必要です。溶岩流や傾斜の強いやせ地があると、分布を広げることができません。  

そのコウベモグラが仙石原で発見されたのは1975年で、現在も仙石原湿原をはじめ、平坦で土壌の厚い場所に生息しています。  

仙石原産のコウベモグラの最大個体は、体長161ミリ、尾長22ミリ、体重151グラムもありました。一方、箱根山地のアズマモグラは小型で、コモグラという亜種とされていたことがありました。体重は49から65グラムと、関東平野に生息する最大級のアズマモグラの半分しかありません。  

両者は近い種類でありながら、コウベモグラは山の上でも大きいままで平坦な場所に住み、アズマモグラは小型化して山地に広く生息と、適応のしかたが違うようです。  

仙石原は神奈川県で唯一のコウベモグラの生息地ですが、険しい外輪山をどのように越えて来たのかが謎となっています。

 

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