トノサマガエル

火山活動によって生まれた険しい箱根山地は、平地にしか生息できない生物の移動を阻んできました。  

中国大陸の東側で誕生したトノサマガエルは、氷河期の海面低下で朝鮮半島との間にできた陸橋を渡って日本に入り、東へ分布を広げたとされています。  

しかし、太平洋岸沿いに分布を広げたトノサマガエルは、箱根山地に阻まれて関東地方へ進出することができなかったのです。それでも、水田を生息環境に利用して、静岡県の黄瀬川沿いに北上し、御殿場市の酒匂川水系まで分布しています。

不思議なことに、険しい山地を越えることのできないトノサマガエルが仙石原に生息しています。水田や池がなくなったために、現在の生息地は箱根湿生花園のある仙石原湿原だけですが、昔から「しまがえる」と呼んでいたそうです。面白いことに、この地方名は、裾野市や御殿場市でも使われています。  

トノサマガエルは、日本のカエルには珍しく雄と雌で体の色が違います。雄は雌よりも小さく、緑がかった体色です。雌の体色はこげ茶色で、体長9bに達することもあります。  

なお、1992年に湿生花園で発見された、箱根の東側に分布するトウキョウダルマガエルとの雑種は、両生は虫類の国際専門誌に発表されています。

 

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