川に生息するカニも、ほとんどの種類が、幼生の時期を海で過ごします。カニの中で、一生を淡水だけで生活できるのは、サワガニだけです。サワガニは、大きな卵から稚ガニで生まれ、しばらくは母親の腹部に抱かれて保護されます。  

サワガニには、青いもの、こげ茶色のもの、赤いものと、三つのタイプがあります。神奈川県には、青いものが海岸寄りの地域に、茶色いものが内陸寄りの地域に見られます。  

山地では、から揚げなどにして食べますが、50~60年前は、仙石原や宮城野でも食べたそうです。ただし、食用に利用するのは、茶色か赤で、青いものは食べません。宮城野でも、青いものは「くそっかに」と呼んで食べなかったそうです。  変わった利用法としては、サワガニをすりつぶして布に包み、ウルシにかぶれた患部に当てて治療していました。このような利用は、秦野市や山北町で行われていましたが、箱根でも、半世紀ほど前は行われていたそうです。  

効き目は定かではありませんが、昔の人と生き物との係わりの深さを示す一例です。

●卵を抱いた雌(左上)
●青いタイプの雄(右下)

 

ふるさとの仲間たち 箱根生きもの図鑑

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