現在の箱根火山
箱根火山の地下深くには熱いマグマがあり、山体内部の熱水によって、地震活動や火山ガスの噴出などを起こすことがあります。ここでは、現在の箱根火山で起こっている現象についてまとめました。なお、箱根火山周辺をはじめ、神奈川県西部で発生する地震については、神奈川県温泉地学研究所が観測を行っています。温泉地学研究所で集められたデータは、同研究所ホームページや気象庁、町を通じて住民の皆様にお知らせします。
のどの痛みや目がちかちかするなどの症状が現れたら、なるべく高いところに向かって歩きましょう。
また、二酸化硫黄や硫化水素は水に溶けやすいので、濡れたタオルなどを口に当てるのも効果的です。
係員の指示に従って、落ち着いて行動してください。
窪地:火山ガスは空気より重く、低いところに集まる。
群発地震
気象庁が発表しない地震
みなさん揺れを感じたらすぐ「地震かな?」と思うでしょう。テレビをつければ各地の震度とともに震源やマグニチュードが放映され、その揺れが地震によるもので、その地震がどこで起こったかを知ることができます。
ところが、地震らしい揺れを感じたのに、テレビで全く放映されないことがあります。そんな揺れのほとんどは、箱根火山で起こった小さな地震です。しかも、その地震は地鳴りを伴うことがあります。一方で、箱根町の中でも揺れを感じない地域もあります。一日に二回、三回とそんな揺れを感じたら群発地震が起こっているのです。
群発地震のほとんどは神山から駒ヶ岳の中央火口丘付近の地下を中心に起こります。下の図は2000年の1年間に起こった地震の震源(地震の起こる場所)を示しています。箱根火山の地震は、毎年ほぼ同じ所で起こっています。群発地震は火山活動の一つで、箱根火山が生きている証拠です。
※右図下欄棒グラフは、震源の深さ、図中の円印は、震源の広さをしめしています。
注意すること
- ほとんどの揺れは震度3以下ですが、まれには非常に狭い地域で震度5弱の揺れが起こることもあります。棚のものなどが落ちないような注意が必要です。
- 震度4〜5程度の地震が起こるとがけ崩れが起こることもありますので、急な斜面のある場所では注意が必要です。
- がけ崩れなどで噴気孔がつまると、小規模な爆発が起こることがあります。
付随現象
- 地鳴りがすることがありますが、大きな地震の前兆ではありません。
- 温泉の湧出量の増減や濁りがでることがあります。
- 地割れが現れることがあります。
- 噴気の異常が現れることがあります。
- 硫黄のような変な臭いを感じることがあります。
問い合わせ
気象庁から発表される箱根町の地震震度は、町役場に設置されている「計測震度計」で計測された震度です。ところが、箱根火山で起こる小さな群発地震は町役場にある「計測震度計」では計測されないことがあります。温泉地学研究所では小さな地震の観測も行っており、町を通してその情報は得られます群発地震が起こったら
状況 | 考えられる災害 | 町・県などの対応 | 住民の対応 | |
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静穏 | 何も起こっていないとき | 特にありません | 日常的な観測 | 日常の防災対策 |
地震発生 | 群発地震が発生したとき | 地震の揺れが大きい場合には、落石やがけ崩れが発生することがあります | 観測の強化 関係機関との連絡体制の確認 住民への広報 |
屋内の落下物防止等の確認 町や気象庁等の情報を得る 火山防災マップを読む |
やや活発化 | 群発地震、噴気・温泉の異常、地殻変動(地割れなど)のいくつかが発生したとき(2001年の活動程度) | 噴気孔に土砂が詰まり、小規模な爆発が起こることがあります | 監視・観測の強化 関係機関との連絡調整 住民への広報 |
屋内の落下物防止等の確認 町・県や気象庁等の情報を得る 避難場所等の確認をする 火山防災マップを読む |
活発化 | 活発な火山活動と考えられる異常現象が多数観察されたとき ※火山情報が発表される |
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★さらに活動が活発化した場合、水蒸気爆発が起こることもありますが、その前には気象庁から「火山情報」が出され、町などから防災情報が発信されます。情報の流れについては、『観測体制と情報提供』を参考にしてください。 ★噴気・温泉の異常や地割れなどの異常現象に気がついたら、町、警察、温泉地学研究所に通報してください。 |
火山ガス
危険な火山ガスの発生
箱根火山では、大涌谷・早雲山・湯ノ花沢(芦之湯)で火山ガスが発生しています。特に、大涌谷や湯ノ花沢(芦之湯)では火山ガスの噴気地帯まで立ち入ることができるため、火山ガス災害に注意しましょう。火山ガスによる健康被害
火山ガスによる健康への影響には個人差があります。特にぜん息など呼吸器系疾患がある人は、わずかな濃度の火山ガスでも発作が起こることがあるのでご注意ください。のどの痛みや目がちかちかするなどの症状が現れたら、なるべく高いところに向かって歩きましょう。
また、二酸化硫黄や硫化水素は水に溶けやすいので、濡れたタオルなどを口に当てるのも効果的です。
大涌谷の火山ガス対策
(1)火山ガス濃度が上昇したとき
大涌谷では、玉子茶屋と神山登山道の入り口付近で火山ガス濃度の観測を続けています。基準値を越える火山ガス濃度が検知された場合は、観光センターとロープウェイ駅から危険を知らせる放送が流れ、係員が大涌谷園地内にいる方々を安全な場所に誘導します。係員の指示に従って、落ち着いて行動してください。
(2)火山ガス事故が発生したとき
火山ガス中毒患者が出た場合、特別な装備をしないままに助けに行くと二次災害の危険があります。中毒患者を発見したときには、大涌谷にある最寄りの売店に連絡するか、119番通報してください。火山ガスの特徴
火口や噴気孔などから噴出する水蒸気の中には、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などの有毒な成分が含まれています。火山ガスは、火山活動や風の状況などによって濃度が変化するため、条件によって危険な場所が変化します。火山ガスの濃度が高くなりやすい条件は
風が弱い:風の弱い日はガスがたまり、濃くなりやすい。窪地:火山ガスは空気より重く、低いところに集まる。
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更新日:2016年3月20日