箱根火山は現在も生きている火山であり、将来噴火する可能性があります。しかし、突然噴火する可能性は低いと考えられます。噴火する前には、マグマや火山ガスの上昇、熱水の移動などが起こるため、異常現象をいろいろな観測装置で捉えることができると考えられています。

噴火までの流れ

噴火までの流れ

異常現象が観測されても噴火活動に移行せず、沈静化する場合もあります。


水蒸気爆発

現在でも噴気をあげている大涌谷、早雲山、湯ノ花沢(芦之湯)で約3千年前以降(約2千年前)頃に起こった噴火と同じ規模の水蒸気爆発が起こった場合に、どのくらいの範囲にどのような影響があるかを予測しました。

 ここでは、最も活発に噴気をあげている大涌谷で水蒸気爆発が起こるケースを示しています。このほかに、湯ノ花沢(芦之湯)や早雲山などで水蒸気爆発が起こる可能性があります。

図解:水蒸気爆発

降灰(数値は厚さ) 水蒸気爆発が起こったときに降り積もる火山灰の厚さを示しました。ここで示した線は、風下側の時の最大の厚さを合わせたものです。一度の噴火で全範囲に灰が降り積もるわけではなく、風下側に多く積もります。 水蒸気爆発に伴う現象:降灰
火砕サージ 水蒸気爆発に伴って火砕サージが発生した時に火砕サージが到達すると予想される範囲を示しました。
水蒸気爆発に伴う現象:火砕サージ
噴石 水蒸気爆発が起こったときに噴石が飛んでくることが予想される範囲を示しました。
火口から約700mの範囲(内側の線)では、噴石の影響を受ける可能性が高く、爆発の力が強いと1.5kmの範囲(外側の線)まで噴石が落下することがあります。
水蒸気爆発に伴う現象:噴石
熱泥流 火口から熱い水が噴き出し、泥流となって渓流を流れ下る可能性があります。         水蒸気爆発に伴う現象:熱泥流、二次泥流
二次泥流(土石流) 上流に火山灰などの土砂がたまっている渓流では、二次泥流のおそれがあります。

水蒸気爆発に伴う現象

災害要因 被害の様子
噴石 直径数cmから数十cmの礫が落下します。噴石の届く距離は爆発の大きさや飛び出す向きによって変わり、一方向に偏って噴石が飛ぶこともあります。噴石の破壊力は強力で、小さい石でも当たり所が悪いと生命に危険があります。また、コンクリートの建物でも天井に穴が空くことがあります。
降灰 風下に細かい火山灰が堆積します。火山灰で命を落とす危険性は小さいですが、呼吸器や眼などに影響を与えます。また、交通への影響は大きく、スリップや視界不良など車の走行は危険な状態となります。農作物への影響も懸念されます。さらに、火山灰が積もった地域では、土石流や泥流が起こりやすくなります。
火砕サージ 火砕サージは、火山灰や空気が混ざった熱い流れで、時速60km、あるいはそれ以上の速度で直進します。火砕サージが高温であれば、巻き込まれたときに生命の危険が生じます。また、火災などの恐れがあります。火砕サージが発生してから逃げるのでは間に合いません。
※似た言葉に「火砕流」があります。火砕流は、岩片を多く含む熱い流れで、マグマが地表近くにまで達したとき(溶岩を伴うようなとき)の噴火で発生しています。水蒸気爆発で火砕流が発生することはありません。
熱泥流・二次泥流(土石流) 熱泥流は火山体の水(温泉)や雨水が土砂と混ざりあって谷を流れ下るもので、流下地域は土砂に埋まり、橋などの構造物を破壊することもあります。二次泥流(土石流)は、山腹斜面に火山灰が堆積したあと、雨によって発生します。また、流れに巨礫や樹木が巻き込まれ、大きな破壊力をもった流れとなることがあります。
斜面崩壊 火山活動の活発化に伴う山体膨張、地震、小規模な爆発によって斜面が崩れることがあります。

お問い合わせ先