有識者会議の概要

1 会議の位置づけ
  箱根町新財源確保有識者会議(以下「有識者会議」という。)は、有識者等の意見を聴取し、
 町政に反映することを主な目的として、要綱に定められた新財源確保に係る外部組織です。
2 会議の役割
  有識者会議は、次に掲げる事項について、町が作成する新財源確保に関する資料等に基づき、
 意見を述べ、必要な助言、提言等を行うものです。
 (1)新財源確保の必要性に関すること。
 (2)新財源確保のための負担のあり方に関すること。
3 委員の構成等
  委員は、新財源確保に関して優れた識見を有する委員5名から構成するものとし、その任期は
 平成28年3月31日までとなります。
 

会議開催状況

提言書

 新財源確保について会議を重ねてきた結果として、平成27年10月30日に提言書が町に提出されました。
 なお、提言書の全文は、次のとおりとなります。

1.結論

(1)新財源確保の必要性
   箱根町のこれまでの財政状況と財源不足への対応とともに今後の財政見通しを考慮した結果、これまでと同じような方法での財源不足の補てんは困難であり、新たな財源の確保を検討する必要性があると判断した。

(2)新財源確保のための負担のあり方
   箱根町が提案した単独税目案(固定資産税超過課税の導入)により平成28年度から6年間、固定資産税の税率を0.28%引上げ、1.68%とすることが妥当であると判断した。
 

2.結論に至るまでの検討経過

(1)新財源確保の必要性
   箱根町は、国から普通交付税の交付を受けていない団体(不交付団体)であり、一般的には、財政的に豊かな団体とされる。しかし、箱根町の場合は、日本有数の観光地であるため税収が多いものの、その分観光に係る支出が多く、必ずしも財政的に豊かとは言えない。むしろ、現状では、景気低迷の影響によって歳入が大幅に減少していることから深刻な財源不足に陥っており、財政的に非常に厳しい状況に置かれている。
  具体的には、平成27年度予算において、経常費及び事業費の予算要求時点で約7.5億円の財源不足が生じた。また、箱根町が作成した「中期財政見通し(平成28年度から平成33年度)」によると、平成28年度以降、毎年度9億円前後の財源不足が生じることが予想されるとのことである。平成27年度予算については、財源不足を、歳出の削減、財政調整基金、退職手当債、土地売払収入、繰越金によって補てんして予算が編成されたが、財政調整基金の残高は約2.1億円であり、また、退職手当債の制度は平成27年度で終了することから、平成27年度予算と同じような補てんは難しい状況にある。加えて、財源不足を補てんするための臨時財政対策債が、平成24年度以降、不交付団体は発行できないことになっている。したがって、これまでと同じような方法での財源不足の補てんは困難であり、新たな財源の確保を検討する必要性があると判断した。

(2)新財源確保のための負担のあり方
   新たな財源確保の方法としては、色々な方法が考えられるところ、箱根町から具体的な案として示されたのが、単独税目案(固定資産税超過課税の導入)と複数税目案(固定資産税超過課税の導入と日帰り入湯税の引上げ)であった。両案について、様々な角度から検討が行われ、単独税目案が最終案として示されたが、本会議も単独税目案が妥当と判断した。その主な理由は、次の2つである。
   1つは、増収の規模である。「中長期財政見通し(平成28年度から平成33年度)」では、平成28年度以降、毎年度9億円前後の財源不足が生じるとのことであったが、本会議とは別に、歳入確保・歳出削減策については、箱根町行財政改革有識者会議で検討が行われており、そこでの議論を踏まえて「行財政改革アクションプラン」が作成され、毎年度約1.5億円の収支が改善されるとのことで、新財源所要額は約7.5億円と見積もられた。箱根町の町税収入約63億円のうち約7割の約44億円が固定資産税によるものであり、固定資産税の超過課税であれば、ある程度の税率引き上げで、上記の所要額を満たすことが可能である。その他の税目は、元々の税収が少なく、上記の所要額を得るためには、大幅な税率の引き上げが必要となってくるため、その他の税目の超過課税は得策とは言えない。また、現在、財源不足に陥っている1つの原因は、固定資産の評価額の下落に伴う固定資産税の税収の大幅な落ち込みにあり、平成10年度のピーク時から約9.3億円減少している。今回の固定資産税の超過課税は、ピーク時以上の負担を求めるものではない。
   2つは、幅広い負担である。箱根町は、主産業である観光を支えるための行政サービスを手厚く行っているが、そのための支出も甚大であり、それが町の財政を圧迫している原因の1つとなっている。したがって、新たな負担を求めるのであれば、住民だけでなく、観光に関係する者に対しても求めるべきである。
  この点、箱根町の場合は、固定資産税の納税義務者数と税額ともに、町外者が約7割を占めており、その多くが観光に関係する者であると考えられ、固定資産税の超過課税であれば、箱根町から行政サービスを受ける者から幅広く負担を求めることができる。なお、複数税目案で示された日帰り入湯税を同時に引き上げる場合は、観光に関係する者に対する負担という点では単独税目案と同じであるが、観光客にさらに重い負担を課すこととなり、住民自治の観点から問題があるという指摘を受けることも考えられる。また、入湯税の税収が現状でも約7億円と町税収入の1割を超えており、すでに応分の負担がなされていると考えられる。

3.附帯意見

(1)議会での議論
   超過課税は、「財政上その他の必要があると認める場合」に許される(地方税法第1条第1項第5号)。その必要性の判断権は、個々の市町村にあり、最終的には市町村の議会が判断することになる。したがって、今後、固定資産税の超過課税を行うのであれば、まず、財政上の必要性について、議会で議論が必要である。歳出削減等で財源不足が解消できないのか、また、「中期財政見通し(平成28年度から平成33年度)」及び「行財政改革アクションプラン」の試算は妥当であるのか、議会において十分検討されることを要望する。

(2)納税義務者への説明
   箱根町の場合は、固定資産税の納税義務者数と税額ともに、町外者が約7割を占めており、納税義務者数では2割に満たない町外法人が、税額の5割以上を占めているという特殊な状況にある。したがって、超過課税を行うに際しては、住民だけでなく、町外者に対しても十分な説明を行い、納税義務者全体から理解を得る必要性がある。特に、今回は、町税条例改正から超過課税の実施まであまり時間がないため、様々な方法を利用して周知徹底することを切望する。

(3)事後検証
   単独税目案で示された超過課税の適用期間は6年間である。今回の超過課税は、財源不足を補てんするために行われるやむを得ない措置であることから適用期間を設けることは妥当である。ただし、固定資産税の価格は3年ごとに見直され、今後急激に土地の価格が上昇し、大幅に固定資産税の税収が増加して超過課税が必要なくなる可能性もある。このため、6年間の途中でも、適宜、検証するよう要望する。

(4)歳入確保・歳出削減策の確実な実施
   今回の超過課税は、「中期財政見通し(平成28年度から平成33年度)」及び「行財政改革アクションプラン」の算出結果を基にしている。この結果どおりに歳入確保・歳出削減ができない場合は、再度、財源不足が生じ、さらなる超過課税が必要となってくる。このようなことのないように、「中期財政見通し(平成28年度から平成33年度)」及び「行財政改革アクションプラン」が確実に実施されることを切に望む。

(5)抜本的な歳入確保・歳出削減策の検討
   「中期財政見通し(平成28年度から平成33年度)」及び「行財政改革アクションプラン」が算出結果どおりに実施されたとしても、約7.5億円の財源不足が生じる。超過課税はあくまでも時限的な措置であり、適用期間の終了に向けてしっかりと見直しを行うことが求められる。このため、6年間で抜本的な歳入確保・歳出削減策について、さらに検討することを要望する。

提言書(PDF版)