箱根(はこね)生(い)きもの図鑑(ずかん) (25)ハコネマイマイ
陸産貝類は移動能力が乏しいために、限られた地域にしか分布していない種類が数多くあります。ハコネマイマイもその一つで、神奈川・静岡の両県と、これに接する地域に分布しています。
よく知られたミスジマイマイと同じマイマイ属の仲間ですが、殻径25mm前後、殻高18mm前後とやや小さく、山高のカタツムリです。
越冬期以外は樹上で過ごし、木の枝や葉の裏側に付着しています。空中湿度が高い場所が好きなのか、川や沢に近い林に多いようです。
25年程前までは仙石原の町中でも普通に見られたのですが。最近はあまりみかけなくなりました。それでも、国道138号沿いの歩道や別荘のそばなど、身近な場所で目にすることがあります。「箱根」の名前がつく生物が身近に見られることは、とても良いことです。
ところで、マイマイ属には、殻の肩からへそまでの間に4本のこげ茶色の帯があり、上から1234の番号で表わしています。箱根産のハコネマイマイは1番の帯がないものばかりですが、山梨県産では1番と4番がない型、伊豆産では3番しかない型や帯が全くない型もみられます。
このことは、同じ種類でも地域によって遺伝的な違いがあり、地域ごとの集団を大切にしなければならないことを示しています。
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更新日:2016年3月29日