箱根(はこね)生(い)きもの図鑑(ずかん) (12)ハコネギセル
サザエをはじめ、海にいる貝のほとんどが右巻きですが、陸にいる貝には左巻きの貝がかなりいます。箱根で一番大きなカタツムリのヒダリマキマイマイや、殻の高さ2mmほどのヒダリマキゴマガイも左巻きです。中でも、亜種を含めると日本に190種類余りいるキセルガイの仲間は、すべて左巻きです。
箱根山地には、殻の高さ42mmもあるオオギセルや、38mmほどのオオトノサマギセルから、8mmほどのハナコギセルまで色々なキセルガイが生息しています。
しかし、箱根を代表する種類となると、やはりハコネギセルです。和名だけでなく、学名にもhakoneが使われています。
ハコネギセルは、殻の高さ34mmと中型のキセルガイですが、殻の色は赤褐色から紫褐色で光沢があり、上品な美しさがあります。
生息している場所も、ブナなどの広葉樹の大木が育成しているような環境の良い森が多く、太い倒木や老木の幹にできた樹洞に付着しています。
箱根山地では、豊かな森に接している建て物も少なくありません。その中には、建て物の苔むしたコンクリートにハコネギセルが付着しているのを見ることがあります。成体になるには3年近くかかると思いますので、大切にして欲しいものです。
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更新日:2016年3月29日