箱根(はこね)生(い)きもの図鑑(ずかん) (14)カマキリ(アユカケ)
カマキリは川にいるカジカの仲間で、全長25cmになる固体もいます。体の色は川底の石に似ていて、水槽で展示しても石と間違える人がかなりいます。別名のアユカケは、えらぶたに鋭いとげを持ち、近くにいるアユをとげで引っかけて食べると言う俗説からきています。
海で産卵して稚魚期を海で過ごした後、川へ上りますが、ヨシノボリのように腹びれが吸盤になっていないため、低い堰堤でも越えることができません。最近は酒匂川や相模川で発見されると新聞記事になるほどで、幻の魚になりつつあります。
しかし、今から50年までは早川の湯本付近にも生息していて「かわふ」と呼ばれていました。おそらく「かわふぐ」が省略されたものと思われます。
カマキリの地方名は、湯河原の千歳川では「だいかほー」、酒匂川流域では、小田原で「ぐーた・ぐーかじっか・たきた」、松田では「ごんぼう・ぐーた」、山北では「たきたろう・がーばじ・げいばち・うまのくつ」とたくさんあります。これらの地方名はカマキリの特徴をよく表現しており、かつての分布域と共に、当時の人と川の関わりの深さを示しています。
なお、外見に似合わず味は良く、川の魚では一番うまかったそうです。
お問い合わせ先
更新日:2016年3月29日